R-1グランプリ2021の(個人的な)感想
はじめに
ここ数カ月の間にお笑い番組を集中的に見るようになったこともあり、私は「R-1ぐらんぷり」というものを今まで真剣に見たことがありませんでした。
知識量で言えば、前大会の優勝者がマヂカルラブリー・野田クリスタルさんであったこと、前々大会の優勝者が霜降り明星・粗品さんであったことを知っている程度です。過去の優勝者が誰だったのか、その方々がどんなネタをやっていたのかはほとんど知りません。
故に、「R-1ぐらんぷり」及び「R‐1グランプリ」のネタや司会進行のレベル、採点方法などもあまり知りません。従って、今回の記事を書くにあたって私の中での大まかな比較対象はあくまでも「M-1グランプリ」となります。
(M-1グランプリについてはある程度網羅しているつもりです。)
それを踏まえて、記事を読んでいただけると幸いです。
さて、ピン芸人のみの大会である「R-1グランプリ」。今年は芸歴10年以内という新ルールが追加されたほか、名称も「R-1ぐらんぷり」から「R-1グランプリ」と変更されました。
大会テーマソングはCreepy Nutsさんの「バレる!」でした。昨年のM-1でも「板の上の魔物」が起用されていましたし、ネット上では「M-1とR-1の二冠達成」なんても言われてました。
いやー、かっこいい。
素晴らしいオープニング映像とともに大会の幕が上がりました。
司会進行は霜降り明星のお二人に加え、広瀬アリスさんが務めていましたね。
審査員は
陣内智則さん
友近さん
ホリさん
古坂大魔王さん
麒麟・川島さん
の7名でした。何れの方もピン芸人としての実力が確立、認知されており、申し分ない人選だったと思います。
M-1と比べると「この人選はどうなんだろう?」と正直感じてしまいましたが、一方で、「芸歴10年以内限定の大会だしこんなもんか」という印象もありました。
野田さんが上沼さんのCDを持っていたのが面白かったです。
そして敗者復活コーナーの司会進行は、昨年のM-1で爆発し今乗りに乗っているこがけんさんと、関テレアナウンサーの竹上萌奈さんが務めていました。
さらに、3位以内の出場者が居座る暫定ルームには同じく乗りに乗っているおいでやす小田さんが務めていましたね。冒頭から迫力のあるキレ芸でさすがだなぁと感じました。
さらにさらに「RGのR-1裏生あるある実況」として、おいでやす小田さんに扮したレイザーラモンRGさんと浅越ゴエさん、その他2名ほどいましたが…。ここはこの記事を書くうえで直接関係のあるコーナーではないと判断しているため割愛します。
さて、一通り紹介が終わったところで。
「さぁCM挟んでネタ始まるぞ!!」と誰もが思ったそのときのことです。
広瀬「知ってるワイフ見てください~!」
え?このタイミングで番宣する??
他の大会でも番宣をすることはありましたし、それとなーく出演者の方が促すような流れとかってのはある程度存在するので、番宣を挟むこと自体は否定しません。
ただ、これからネタが始まるぞって時にここまで露骨に入れられちゃうと個人的にはどうなのかなって思ってしまいました。番組の内容と関連性がある(例えば優勝者特番など)ならまだしも、全く関係ないドラマですからね。今これを書くにあたって番組を見返していますが、「この大舞台を踏み台にしてまでやる必要性は果たしてあったのか?」と今でも思います。
まあ、テレビの事情もあると思うのでこれ以上とやかくは言いませんが、タイミングや流れは考えてほしかったなあと思います。
さて、次からはネタの個人的感想を出場者順に記載します。
ネタの感想
1.マツモトクラブさん
まずネタ云々以前に、ここで1つ気になったのですが、出囃子も「バレる!」だったんですよね。
「…え、出囃子もこれなの?」
いや、確かにかっこいい曲なんですけど、だからこそこういう形で安売りしてほしくなかったなーと。
私の記憶が正しければ従来のR-1には従来のR-1の出囃子があったと思うので、てっきり今回もそれを使うのだと思ってました。
色々事情はあると思うのでこれ以上h(ry
さて、名前は聞いたことがありましたがネタを見るのは初めてでした。
見終わったときの率直な感想は
「上手いなぁ~」
でした。いや、本当に。
同じような内容の言葉が、シチュエーションが異なっても通用するという状況がこうも面白いのかと。
上手さの先に面白さがある、そんな印象を受けました。
比較対象として挙げるのは間違っているかもしれませんが、アンジャッシュさんのズレコントを彷彿させられました。
トップバッターということもあり点数は伸び悩んでましたが、今回初めてR-1を真剣に視聴する私は「このくらいの人たちが出てくるのかぁ」と自分の中の基準としては何ら疑問を抱きませんでした。
ところで、
「視聴者ポイントってなに^^?」
毎回ネタ終わりにTwitterで公式アカウントがツイートして、それに視聴者が投票した結果に則って1点・3点・5点のうちいずれかの点数が加算されるというシステムでしたが、正直な話
「これ、いる?」
って思いました。集計結果が出るまでタイムラグがあるし、わざわざ審査員は審査員で呼んでるんだからM-1同様審査員のみの点数で個人的には良かったと思います。
と、まぁここに文句を言っても仕方がないので飛ばします。
2.ZAZYさん
こちらも名前は知っていましたが、ネタを見るのは初めてでした。
フリップを4窓にして芸を披露するというスタイルは斬新だなと感じました。
本人の奇抜な外見と相まって、この世界観はこの人特有のものだと思いましたね。
不思議なイラストと不思議なリズムで思わず引き込まれました。各窓ごとの畳みかけの部分が特に面白かったです。
で、どの窓も最後「なんそれ!」で終わるので失速したまま終わるのかなーと思ったら、最後にもう一段階ネタがありましたね。
歌のレベルが何とも言えず、絶妙でした。(正直BGMが若干大きくあまり聞こえませんでしたが…。)
最後は4窓を思いっきり使って
な ん
そ れ!
で締めるという。未来のフリップ芸を見た気がしました。
で、得点がまさかの669点。
「いや、たっっっか!」
この点数は結果的に今大会の最高得点となりましたが、2番手でこの点数の高さはM-1グランプリ2019のかまいたちさんを思い出しました。
「これは大会全体のハードルあがったなぁ~。」
個人的にはマツモトクラブさんとそこまで面白さに差はありませんでしたが、いずれにしてもどちらも面白かったので、得点を見てこの時点でちょっと期待しちゃったんですよね。
3.土屋さん
この方は完全初見でした。
「自転車レースしながら、自分に田原俊彦さんが憑依する」というネタでしたが、正直ハマれませんでした…。
私が田原俊彦さんをあまり知らないこともあり、田原俊彦さんをネタのメインウエポンにしてた部分がハマれない原因だと思っています。(知らないのは自分が悪いですが。)
が、どこか爆発を期待してしまう部分があったんですよね。
ずっと平坦だったというか、1~2か所「どかん!」となる要素があればもう少しだけでも面白いと感じたのかなと思います。
で、ネタとは関係ないんですけど
ここからいきなり点数発表が雑になったんですよね。
え、うん。なんで??
前2人までは視聴者ポイントも合わせて1人ずつ開示されてたよね?
時間的に余裕がないからなのか。まあ色々事情h(ry
4.森本サイダーさん
この方は名前は知っていましたがネタを見るのは初めてでした。
事前の紹介VTRに出てきた「お笑いトキワ荘」の存在は別番組で聞いたことがあり、その一員だということも知っていたので、自分の中の期待値は少し高めでした。
ネタの内容としては、昔のオタクのような格好をしてショートコントをした後フリップ芸で客観的視点にツッコむというものでした。
フリップの内容は、確かに心の中で思ったことそのものでした。
「リュックでかくね??」「ベルトの穴多くね??」と開幕から思っていたので、相手の思うつぼにまんまと引っかかちゃいましたね。
ただ、個人的にはフリップを蹴っ飛ばした後が少し弱かったかなと思います。
こっちがまだついていけていないというか、置いてけぼりにされたままネタがたたまれてしまったような、そんな気がしました。
ネタの感想とは関係ないですが、終わった後の野田さんの「え?これで終わり?」みたいなぽかーんとした顔が印象に残っています。(得点としては92点を付けていたので完全に面白くなかったわけではなさそうですが。)
5.吉住さん
THE W2020の王者がこの舞台に来ましたね。
私もTHE Wがきっかけで知ったこともあり、かなり注目度と期待値は高かったです。
一体どんな世界観を見せてくれるのか。
で、ネタの内容ですが、芦田愛菜さんのモノマネをするやしろ優さんのような感じの話し方で、村はずれの祠に住む化け物と仲良くなるというものでした。
後半はその化け物が村を襲い始めて、最終的に射殺を要求するという…。
村が燃やされているときの顔つきとカメラワークが絶妙でしたね!
吉住さんらしい独特な世界観のネタだったと思います。
1つ思うこととすれば、「声が若干聞き取りづらいな…」と感じました。
元々こういうねっとりした(?)話し方だったとは思うのですが、ちょっと引っかかる部分が多かった印象です。
最後の「射殺してください!」あたりは特にそう感じました。
残念ながら点数はあまり伸びず、発表の時点で脱落が決定してしまいました。
「THE Wで優勝した」という実績を持っているからこそのプレッシャーなどはあると思いますが、今後のR-1でも期待したいです。
6、寺田寛明さん
この方は完全初見です。
塾講師をやられているとのことで、そこから着想を得てネタを作成したと紹介されていましたね。
ネタの内容としては、「I love you」を「月が綺麗ですね」と言い換えるように、英語を直訳ではない日本語に、面白く翻訳したものをフリップで出すというものでした。
「Oh my god」を「ルマンドが粉々」
「Annoying(うっとおしい)」が「弱いWI-FIが入り続ける」
「Why(なぜ)」を「何回チンしても冷凍グラタンの真ん中が永遠にシャリシャリ」
などと表現しており、身近なあるある(?)を掛け合わせていました。
面白かったです。
「いやー、分かるわーww」
って思いながら見てました。
ずっと同じ調子でネタを展開しているので爆発力というものはありませんでしたが、本人のトーンやルックスと相まってじわじわと引き込まれました。
ただ、点数は伸びなかったですね。
エンタの神様で、違う方が似たようなネタをやっていたような記憶があります(記憶違いだったらすみません)が、こういったネタは賞レース向きではないのかもしれませんね。
今回の出場者の中では私は一番好きでした。
7.かが屋 賀屋さん
来ましたね。今を時めく第7世代の一角。
他のネタもたびたびみかけますが、大体が面白いこともあり、私の中では一番期待している枠でした。
ネタの内容ですが、サラリーマン(?)の方が疲労困憊になりながらも散々な目に合うというものでした。
リュックから蓋の空いた缶コーヒーが出てきたときは声出して笑っちゃいましたね。
荒い息遣いの調整が上手いと感じました。
本ネタとは関係ないですが、終わった後の「R-指定とルックスが似ている」ことをネタにしていて、「あ、これ本人もネタにするのか」と思いました。
何より、加賀さんが復帰したことは驚きでした。普通に知らなかったので。
休養していたのは知っていましたが、早く「かが屋」としてまた色々なネタを見たいですね。
点数も高めでした。
8.kento fukayaさん
完全初見です。
フリップを3面使って流れるようなネタ展開が印象的でした。
立体交差点と8リーチ0ビンゴのくだりは声出して笑いました。
非日常的・非現実的なフリップの中に
「SNSでにおわせ女」
「料金所ミスって遥か彼方」
「ビンゴゲームで最初にリーチになってから30分立たされる」
など現実的なものが混合していてところどころ「わかるなぁ~」となりました。
オチの
「サンリオピューロランドォ~!」
の締め方も好きです。
寺田さんといい、日常的な要素を面白くしたフリップ芸が私は好きなのかもしれません。
9.高田ぽる子さん
こちらの方も完全初見です。
まだ芸歴2年目、22歳の史上最年少ファイナリストということにびっくりしました。
ネタとしては、「おじいちゃんの乳首が取れてしまったので新品を買おう」というぶっ飛んだネタ。
BGMに合わせて歌いながらフリップを動かし、新しい乳首を選別していくという今までに見たことないスタイルで「何だこの人!?」ってなりました。
後半の投げ銭目的でリコーダーを吹くところは声出して笑いましたね。
個人的には、「この世界観に引き込まれるのにはもう少し時間が欲しい」と思いました。
「もっと長尺で見て、もっとこの世界に引き込まれて楽しみたい!」
というのが率直な感想です。
10.ゆりやんレトリイバァさん
THE W2017王者に加え、過去5回R-1のファイナリストになっているそうで。
他の方とは一線を画す出場者だと思います。
今回のファイナリストの中でも、お茶の間の認知度は間違いなく一番でしょう。
というか、「え、まだ芸歴10年いってないんだ」って思いました。
ネタとしては、あらゆるものの想いを代弁しながら「ちゃうねん!」とツッコむというものでした。
特に観葉植物に固執していましたが、少し離れては戻って、また離れては戻ってのところが面白かったですね。
ロッカー開けたら観葉植物が入っていたところは今日の一ウケだったんじゃないかなと。私も声出して笑いました。
「ちゃうねん」のワード1つでここまで世界観を作れるのはさすがだなと。
得点の高さも文句なしですね。
と、ここまで見て、決勝進出者は
ZAXYさん
ゆりやんレトリイバァさん
かが屋 賀屋さん
の3人となりました。
で、これはあくまでも個人的な意見ですが、マツモトクラブさんは順番が順番ならもっと上位にいられたのではって思いました。
歴代のR‐1のレベルがどの程度か分かりませんが、上手さはマツモトクラブさんとゆりやんレトリイバァさんの2トップだったかなと。
上手いと面白いは必ずしも比例しませんが、トップバッターでマツモトクラブさんを見て、それが自分の基準としてしまった私にとっては
「R-1って毎年こんな感じなのか…?」
って正直なりました。
この舞台に立っている時点でレベルが低いとは決して思いませんが、ちょっと期待しすぎちゃったかなと。
あと、
「フリップ芸、多くない??」
振り返ってみれば出場者10人のうち5人と半数の方がフリップを使用するネタをしていました。
スタイルはそれぞれ違いますが、それにしてもここまで芸の基盤が被るものなのかと。
前述の通り、私は過去の大会をあまり知らないので、普段のR-1でどのくらいの方がフリップ芸を用いられているかは知りません。
2019年の粗品さんもフリップ芸(元々フリップ芸でやっていたことも知っています。)で優勝していましたし、やること自体は別にいいと思います。
が、正直後半になるにつれて、だんだんお腹いっぱいになってきちゃいました。
フリップ芸の方がネタを披露するたびに、「この人面白い!」の前に、「え、またフリップ芸?」が訪れてしまったのです。
現に、2番手でフリップ芸をしたZAZYさん以外は誰も上位3位に残れなかったんですよね。
勿論本人たちの実力もあると思いますが、先程の話と併せても
「順番って大事なのかなー」
と思う、そんな結果でした。
さて、いよいよ上位3名による優勝をかけた激突が始まります。
1.かが屋 賀屋さん
ネタとしては、家に遊びに来ていた彼氏が帰った後に、我慢していたオナラを大量にするというものでした。
彼氏が帰宅したことに安堵してオナラをしますが…。彼氏が「鍵を忘れた」といって戻ってきちゃうんですよね。
一本目のネタもそうでしたが、1人でやっているにも関わらず相手が見えやすいんですよね。ストーリーに沿って登場する人物が容易に想像できるというか。世界観の作り方が上手いというか。
終盤彼氏もオナラをするのですが、それを受けて
「おんなじニオイ…。もう終電ないかも…。」
という締め方をするのも独特だなーと。
ただ、1つ気になったことは
「え、ここで終わり?」
ってなったことです。
上記のセリフの後に鍵を探そうとソファーのほうに戻る賀屋さんでしたが、なんかもう1個アクションがありそうだなって思ったら終わりの「て~て~」って音楽が流れたんですよね。
M-1でもBGMを流すタイミングがずれて芸人さんが締まり切らなかったりする例もあるので、そこが1つ懸念点としてありました。いや、あれで終わりだったならそれでいいんですが。
2.ゆりやんレトリイバァさん
ネタとしてはインタビュー中にボケながらも、インタビュアーが内心に抱えていそうな疑問を、拳銃を片手に問い詰めるというものでした。
最初に拳銃出したときは声出して笑いましたね。会場はあまりウケてませんでしたが。
キャラクターの切り替えがやっぱり上手いなーって思いますね。1本目もそうでしたが、「自分ではない何か」を憑依させる技術がすごいなと。
後半につれての畳みかけ方もすごくてどんどん引き込まれました。
そして最後はシャワーを浴びて締めるという。ある種サイコパスのような人格を見せつけられました。
過去5回出場経験がある実績は伊達じゃないと、そう感じさせられましたね。
3.ZAZYさん
ネタとしては1本目とほぼ同じでした。4窓のフリップを最大限に活用し、「なんそれ!」で締めた後なんともいえない歌唱力の歌が、ネタ中に出た効果音によるBGMとともに奏でられるという。
ただ、やっぱり気になったのはネタ中のミスです。
1か所目は、右下のフリップの留め具を外し忘れていた(?)ようで、なかなかめくれないことです。少し焦っていたようなので意図的なものではないと思います。
2か所目は、4窓を最大限使った最後の
な ん
そ れ!
の「そ」が白紙だったということです。すぐCMに入ってしまったり、本人からはやりきった表情しか見られなかったため気づいていたかは定かではありませんが、これも同様に意図的なものではないと考えていいと思います。
なにかアドリブでカバーできていればまた違ったかもしれませんが、普通に焦りを見せていたので、見ているこちらとしても「大丈夫か??」となりました。
ネタは勿論面白かったのですが、最後に残ったのが「面白さ」と「心配」だったので、これが審査員にはどう響くのかなーと思いましたね。
さて、CMを挟んでいよいよ最終結果発表となりました。
結果としては
1位 ゆりやんレトリイバァさん 663点
2位 ZAZYさん 656点
3位 かが屋 賀屋さん 650点
ということで、ゆりやんレトリイバァさんが優勝となりました!
ZAZYさんはあのミスが響いてしまったのかなと思います。
3人とも面白かったですが、個人的にはこの順位で相違ないかなといったところです。
ゆりやんさんが号泣しているんですよね。…と思ったらいつもの面白い顔。でも嬉しさがにじみ出ていたことがよく伝わりました。
500万円のパネルを持った小田さんが終始「俺でええの!?」と困惑してるところも含めてここは面白かったです。
さて…みんなどんなコメントするのかな??
と思った矢先
粗品「改めてチャンピオンの1本目のネタを見てみましょう!」
…え?
…え?
…え?え?
なんで?なんで見るの?見る必要ある?え?え?
ずーーーーーーーっと困惑してました。
左上で出演者がワイプで切り抜かれているところも含めて疑問しか浮かびませんでした。
ネタが素晴らしかったのは分かるのですが、「いや、もっとこの分の時間を割くべき要素があっただろ」と。
最終決戦の3人からコメントもらうとか、審査員から総評もらうとか、いろいろあったでしょ!
ってツッコんじゃいました。
さらに言えば、U-NEXT10年間無料会員のパネルを持った堤社長が登場したにも関わらず、何も紹介がないままこの映像に進んでいたので「それでいいのか?」ってなりました。
M-1を軸に考えると、ネタをリマインドする必要性はなかったのかなと思いますね。
あの場、あの瞬間、あの雰囲気の中でのみできるコメントや表現もあると思うので、その時間をすでに完成された過去の映像で埋めるのはもったいないです。
ちゃんと映像が終わった後は堤社長の紹介とゆりやんさんのコメントがありましたが、なんとも腑に落ちないというか。締まらないというか。
途中で点数発表が簡略化されるなど所謂巻きの体制が垣間見えていたにも関わらず、最後がこれって…。うーん…。
ただ、最後のエンディングはすごかったですね。あの短時間でこの2時間分の出演者たちが良い感じにまとめられていて、スタッフさんの編集力の高さを感じました。
ということで、R-1グランプリ2021はここで幕を下ろします。
個人的な総括
ここまで見てきて、色んな方が色んな疑問を抱いたと思います。
私もその1人です。ここでは、私がこの大会について思ったことを書きます。
時間配分はなんとかならなかったのか?
まあこれですね。全体を通して時間配分がかなり適当だなと。
番宣やネタのリマインドで時間を使う反面、M-1とは異なりネタに対する出演者の方の声が少ないと思いました。
各ネタ終わりに審査員からコメントをもらえる時間がありますが、それも毎回誰か1人。申し訳程度の時間でしかありません。
さらに言えば、優勝者が決まった後も全体の総評を誰か言うのかと思ったら、それもない。
ザコシさんのように他大会で審査員を務めることがあまりない人が務めると決まった時から期待値は高かったのですが、見事に悪い意味で裏切られましたね。
もっとコメントを聞く時間はあっても良かったんじゃないでしょうか。2時間というM-1よりも短い時間でM-1と同じようなことを行うのが難しいのは分かりますが、それにしても情報の取捨選択が下手だと思います。
司会を務めた霜降り明星のお二人及び広瀬アリスさんも、M-1の今田耕司さん、上戸彩さんの安定感とは程遠い印象でした。本人たちの実力が備わっていないのもあるでしょうが、それ以上にスタッフの無茶苦茶な時間配分に振り回されていたなーと。
審査員の点数発表は途中から簡略化されるし、視聴者投票はデータ反映が遅くグダグダだし、惜しくも敗退してしまった出場者のコメントも聞いたり聞かなかったりと統一性がないし、前述にもありますが、どこか「巻き」を感じてしまったんですよね。
ただそれだけなら「まあ仕方ないか」で済むんですが、番宣やネタのリマインド挟んだうえでのこれなので…。もう少しなんとかしてほしかったですね。
出演者へのリスペクトが足りない
1個目の時間配分に通ずるものがありますが、出演者の扱いがかなり雑なように感じました。
せっかく審査員を呼んでいるのにネタに対するコメントは毎回1人だけ。全てが終わった後の最後の総評も誰も無し。
てっきりM-1のように1人ずつ何か一言あるもんだと思ってたので、肩透かしを食らった気分でした。
さらに言えば、番組内で小田さんが
「俺、いらんやろーーっっ!!」
みたいなことを仰ってて。
小田さんだからただのキレ芸として処理されてしまいましたが、冷静に考えて「いや、小田さん何のためにいるのこれ?」って私もなったんですよね。
最初に少し出てきて、途中にも少し出てきて、最後賞金を渡す役として出てきましたが、
「だったらいっそ審査員させればよくない???」
暫定ルーム担当だったにも関わらず、番組の構成上暫定ルームとあれこれやりとりをするタイミングが無かったことから、居なくても困らない存在に見えてしまったんですよね。
M-1で優勝者に賞金を渡すのは毎回審査員の方なので、なんで小田さんなの…?ってなりました。
小田さんがあの役を務めたことに不満があるのではなく、そこをわざわざ分ける必要性はあったのかと疑問に感じた、ということです。
後はなんといっても堤社長の扱いでしょう。パネルを持って登場しカメラもそちらを向き堤社長の紹介テロップが出たにも関わらず、なんの説明もなくゆりやんさんのネタのリマインドに移行しました。
「え?社長出たよ?え?」
ゆりやんさんのリマインドをみんなが見ている中、紹介もされないままずーーーっとパネルを持っている堤さん。ここはもっと大切にするべきだったでしょ。
段取りがひたすらに悪いんですよね。渡すもの全て渡してからリマインド流すか、リマインド流してから賞金とかトロフィー渡すようにするとか、どっちかに統一すればよかったと思うのですが…。
どっちつかずなまま時間に振り回されて、登場するだけして待たされた社長さんがかわいそうだなと思いました。
リマインドが終わった後に一応紹介がされ、U-NEXT10年間無料の権利が譲渡されましたが…そこ適当にしちゃダメでしょ。
少なくとも私は、これはリマインドより優先すべき事項だったと思いますよ。
「バレる!」に頼りすぎでは?
最後はこれですね。
今大会テーマソングの「バレる!」は先に記載したように素晴らしい曲だと思います。
オープニングもこの歌がしっかりとハマってて、良い幕開けができたと思います。
ここまではね。
1人目のマツモトクラブさんの時に「え、出囃子もこれなんだ…」という風に思ったと書きましたが、私はこれを出囃子にする必要は無かったんじゃないかなーと思います。
テーマソングはテーマソングとして確立しておき、出囃子は出囃子として確立したほうが良いと思うからです。
実際、M-1ではテーマソングと出囃子は全く別のものが用いられています。
かっこいい曲なのは承知ですが、それはそれとして置いといて、大会の雰囲気と合ってないかなと。
M-1の出囃子がしっくりきて、この出囃子がしっくりこないのは、無論使用されてきた年数の違いもあります。この出囃子がこの先5年、10年と続けばもしかしたら「やっぱこれでしょ!」ってなるかもしれません。
ただ、オープニング、各芸人への出囃子、CMへのカットイン、エンディングの全てがこの曲というのははっきり言ってくどいです。
なまじ歌詞がある分、悪い意味で頭に残ります。
予算、足りなかったんですかね…。
まとめ
と、まあここまで不満をたらたら書きましたが、全体的には面白い大会だったと思います。
出場されている芸人さんの面白さは本物です。2000人以上の参加者から勝ち上がったその実力は伊達ではありません。
後は、この「芸人さんたちの面白さをいかに保ったまま視聴者に届けられるか」が大切になります。今回はこれがちょっと足りなかったのかなと。
時間を気にさせないような雰囲気作りや進行などがまさにその例です。
とはいえ、新生R-1グランプリとなってから初の開催ですし、色々手探りな部分もあったのかなと。
視聴者投票という形自体は前回のR-1にもありましたし、M-1には無い要素なので差別化としてこのまま残してもいいと思います。(上で文句言ってますが、こういった試み自体は個人的には賛成です。)
その分の時間調整等は必要ですが。
良い部分はそのままに、悪い部分は修正して、「R-1グランプリ」として今後のブラッシュアップに期待ですね。
なんというか、改めてM-1のレベルの高さを感じました。
今回のR-1はだいぶM-1をリスペクトしていたように感じましたが、R-1のレベルが低いのではなくM-1のレベルが高すぎるなと。
多少の躓きをカバーできるほどの力が、M-1にはあるのだと感じました。
霜降り明星のお二人は大変だと思いますが、こういった大会やバラエティをさらに率先し、ゆくゆくはあの今田さんレベルの存在になってほしいと思っています。
繰り返しになりますが、出場者はみなさん面白い方ばかりでした!
自分の知らない面白い芸人をまた新たに知られる良い機会となりました。
最後になりますが、これはあくまでも私の考えであり、私の意見です。
振り返ってみれば、よく動画サイトやネットニュース、SNSのコメント欄に蔓延る「自称お笑い評論家」みたいな内容ばかりだなーと思ってしまいました。
とはいえ、これが私の率直な感想なら、これはこれで良いのかもしれません。
人によって様々な考え方、意見を持っていると思いますが、これはあくまでも私個人のものであることをお忘れなく。
改めて、ゆりやんレトリイバァさん優勝おめでとうございます!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。